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愛知県出身。2005年、名古屋大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻修士課程修了。同年に大手総合電機メーカーのラボに研究職として入社。2022年法政大学情報科学研究科博士後期課程早期修了コースにて博士号取得、2022年8月にAWL株式会社に入社。R&D統括担当としてAWLの技術開発を牽引する。
※インタビュー・文・撮影は外部取材チームが担当。

身近なところでAI技術の成果が感じられるビジネスのあり方に共感。

藤村浩司さんは大学院を修了後、日本を代表する大手総合電機メーカーに就職。そのラボではAI技術が多く用いられる音声認識を中心に研究を進めていました。
「ラボ全体の企画サポートやマネジメントも経験するうちに、会社全体を俯瞰できる立場で活躍したいと思うようになりました。加えて、転職の後押しになったのが妻の起業。彼女のようにやりたいことにトライする生き方を、自分自身も歩んでいきたいとモチベーションが高まりました」
このような状況の中、藤村さんはAWL株式会社に出会いました。
「AI技術をビジネスの主力に据え、なおかつ身近な場所で課題解決の貢献性を感じられる会社というのが転職時の希望。この条件に当てはまる企業として、紹介を受けたのがAWLでした」
いくら高機能なAIシステムを作っても、実用化されず、世間に使ってもらえなければ意味がありません。AWLでは、「お客様が使いやすいか」に重点を置いて開発を進めており、エッジAI(端末自体にAIを搭載する技術)によるカメラソリューションを様々な形態でお客様の希望に合わせて開発・導入しています。
「面接の際、CTOの土田から聞いた『AWLは技術の会社』という言葉にも惹かれましたし、身近なところで仕事の成果が感じられるビジネスのあり方にも共感しました」

エッジAIを自動的かつ継続的に賢くするための独自ノウハウを蓄積。

AWLの代表的なサービスは「AWLBOX(アウルボックス)」と「AWL Lite(アウルライト)」。AWLBOXは小売店に設置されている防犯カメラを「AI化」し、顧客の分析や動線の可視化、接客が必要な人の通知など、ニーズに合わせた機能を追加できます。AWL Liteはどんなデジタルサイネージにも簡単に取り付けられ、サイネージの注視時間やサイネージを見ている方の属性などをリアルタイムで高精度に分析することが可能です。
また、これらのエッジAI搭載サービスに対してMLOps(Machine Learning Operations)、特に継続的な再学習と自動デプロイを回すための「AWL Trainer(アウルトレイナー)」を開発。これはエッジAIを自動で色々な場面に応じて適応させる機能です。
「エッジAIの世界では、色々な場面に対応できるようにした一つの汎用モデルを使い、一度リリースしたシステムを使い続けるケースが大半で、実用化の壁を乗り越え運用フェーズに移行するにはかなり高い壁が立ちはだかっています」
例えば、かつては「マスクといえば白」でしたが、最近はカラフルな商品も多いため、AIをアップデートさせない限り、顔の検出の認識精度が低くなるのだとか。また、実際にAIを導入し、稼働させてみると思ったより認識してくれない場面にも多く遭遇するそうです。
「AWLのエッジAI機能が活用されるカメラが置かれているのは、レジや商品棚、冷蔵庫前など多種多彩。その場その場で映る人も背景も異なるため、AIをその場面や時間の変化に対して自動的かつ継続的に賢くしながら精度を高く保つのは至難の業です。
世界的に見ても多くの企業がこの壁を打ち破れない中、当社は粘り強くトライアンドエラーを繰り返し、独自ノウハウを積み重ねてAWL Trainerを構築することで、現場に適応するエッジAIを実用化させています。低コストで導入しやすいため、数多くのお客様に受け入れられやすいことも強みです。
私のもともとの専門分野である音声認識の領域では、インターネット接続されたクラウドベースのシステムで場面や使用用途に応じて語彙を変更するなどの技術はあります。けれど、エッジAIベースでこのようなシステムを実現できていることに驚きを感じました」

外国籍の多様な若手エンジニアと、シニア人材が上手く融合した社風。

藤村さんのミッションは、AWLの次世代技術を作り出すこと。その一つが「AWL Trainer」の更なる高精度化。もともと専門だった音声認識分野も、医療現場やコールセンターなどのシチュエーションごとにモデルを適応・変更するため、根本的な考え方はAWL Trainerと似ているといいます。一方、AWL Trainerのように既にベースがあるサービスの開発に加え、次の目玉となる全く新しいものを作ることもミッションの一つです。
「僕はAWLに対する顧客ニーズや世の中の動向を見ながら、次の研究開発ターゲットの選定・実行や、リソースマネジメント、R&Dとしてその他足りない部分をカバーするのが役割。AWLには外国籍の若いエンジニアが多く、モチベーション高く仕事に取り組んでくれています。一方、企業研究者としての研究開発や、お客様とのやり取りのノウハウなど、経験が生かされる所を僕らのようなシニアが上手く補っています」
ベンチャー企業というと若いスタッフの勢いをイメージしがちですが、AWLは若手とシニアが融合し、ビジネスをしっかりと回しています。拡大フェーズにありながらも、事業やスタッフを適切にコントロールできるシニア人材の手腕が光っているようです。
「お客様との距離が近く、R&D部門でもお客様とミーティングする機会が多くあります。意思決定に介入できるチャンスも大きく、全員でプロジェクトを成功に導く感覚を楽しめています」
藤村さんが目指すのは、エッジAI同士が、お客様のプライバシーを守った上でつながり、連携しながらより賢くなっていける世界。例えば、「このAIが動作する環境Aは、他の環境Bと似ているから、環境Bで動いているAIを真似て動作しよう」というようなことを設置しただけで自動的に判断し、すぐに新しい現場で使うことができるAI。エッジAIが複数の現場に数多く入り込んでいるAWLだからこそ実現できる機能です。
「労働人口が減りゆく将来、身近な所にも簡単に入り込むことができるエッジAI技術を用いて、様々な場面で人々の仕事を助け、暮らしを豊かにできる存在になるものを手掛けたいです。この分野で高い技術を持つAWLなら、夢ではないと思っています」と表情を引き締めました。

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