CFO 最高財務責任者 戸川 晋一

大手通信会社にて通信設備の運営企画、設備投資企画業務を担当。その後、大手コンサルティングファーム、インターネット関連会社を経て、スーパーマーケット運営会社に入社。情報システム、デジタル、物流、副資材集中購買を所管し、取締役にも就任。さらに食品商社への転職を経て、2022年9月から現職。東京大学大学院工学系研究科修士、ダートマス大学タック校経営学修士。

※インタビュー・文・撮影は外部取材チームが担当。

「産業界のGMたれ」という恩師の言葉を仕事や転職の中心軸に。

戸川晋一さんは東京大学大学院工学系研究科を修了。大手通信会社のネットワークエンジニアとして社会人としての第一歩を踏み出しました。当初は設備関係の保守・運用に携わり、主に運営計画を担当。その後は通信ネットワーク技術を効率的に進めるために、どのような仕組みを作れば良いかを企画する部署に配属となりました。

「どのようなネットワークを作るのが最良か何パターンもの思案を重ねても、行き着く先は経営課題。つまり、トップの方針が決まらない中で、物事を成し遂げるのは不可能だという結論に至りました。この経験が会社全体の行く末をマネジメントしたいという思いにつながり、米ダートマス大学タック校経営学修士(MBA)の取得に結びついたんです。」

加えて、戸川さんの頭をよぎったのは大学時代の恩師の言葉。産業界に名だたる人材を輩出している教授が、口を酸っぱくして「産業界のジェネラルマネージャーたれ、リーダーたれ」と説いていたそうです。その思いを仕事の中心軸に置き、MBAの学位取得後は大手コンサルティングファームに転職しました。

「コンサルタントとして顧客企業の会社を切り盛りするのは張り合いがありました。一方、職位が上がっていくにつれ、コンサルティングサービスをセールスする役割が強くなっていく中で、より事業に近いところで働きたいと思うようになっていきました。」
その後、当時成長盛りのインターネット関連会社に転職。海外事業の規模拡大に向けたマネジメントの整備を担当していました。

AWLのグローバルな視野と気概に夢を感じてジョインを決意。

戸川さんは2013年にスーパーマーケットを展開する小売企業に転職。もともと顔見知りだった代表から「今後の基盤づくりを手伝ってほしい」と声をかけられたのがきっかけです。裁量の大きさと担当領域の広さを約束されていたことに加え、当時強く興味を抱いていたデジタルマーケティングの分野にも携われることが決め手だったといいます。

「メインで担当したのは情報システムやデジタル技術を活用してビジネスを成長させること。何度も危機を乗り越えながら3年がかりで基幹システムを入れ替えたり、当時は最先端だった機械学習のアルゴリズムを活用して顧客を分析して、売上拡大に向けた施策に取り組んだりしました。」

実はAWL株式会社と出会ったのは小売企業時代。リテール業界の対談企画に参加した際、サツドラホールディングスの富山浩樹社長と雑談を交わしていたところ、エッジAIの画像認識に優れた企業が話題に出たと振り返ります。

「その時紹介されたのがAWL。まさか、その後転職するとは夢にも思いませんでした。当時は分析やマーケティングではなく、店舗の防犯運用のためにエッジAIのカメラをトライアルとして使わせてもらおうとしました。」

戸川さんは小売企業で取締役まで務め、新基盤と仕組みづくりを終えた後に退任。食品商社に転職し、新規事業のディレクターとして活動しました。

「食品業界では配膳ロボットなどが登場し、テクノロジーの飛躍的な向上に面白みを感じていました。そんな折、AWLからCFOとして働かないかと声をかけてもらったんです。エッジAIは今後成長が期待される技術ですが、AWLはその中で頭角を現しつつある企業でした。テクノロジーを武器に世界に勝負をかけるというグローバルな気概に夢を感じてジョインすることを決意しました。」

AWLは人生経験から得たネットワークを駆使する「大人スタイル」。

これまで数多の企業で基盤や仕組みの整備、コンサルティングを手がけてきた戸川さん。AWLのCFOとして課せられたミッションは、まさに得意分野の「会社としての足腰を強くすること」です。

「我々が直近の目標に掲げているのはIPO。そのためには当社のマネジメントやベクトルをしっかりと整えた上で、事業計画を達成しなければなりません。これが実現できてこそ、グローバルに転じられると考えています。」

戸川さんは大手企業向けのコンサルティングや、大手企業での在籍経験から、AWLが今後成長していく上で課題となり得ることを見出しているところ。会社の経営状況を可視化し、経営目標を達成するように組織・運営体制を整備していくことで会社のポテンシャルをさらに引き出していけると語ります。

「付加価値の高いものに投資し、意思決定することで組織の仕組みを整えるのが私の役割。ただ、AWLはベンチャー企業といえども、さまざまな会社や国で仕事を経験したことがある社員が集まっています。ある種の青臭さがない分だけ、きちんと前提や目的を共有していけば同じベクトルに向かって動いてくまとまりがありますし、また、それぞれの得意分野を発揮しできる土壌もあります。例えば、これまでの人生経験から築いたネットワークを上手く活用し、営業活動や資金調達をしながらビジネスを力強く推し進めていけるのは『大人』が多いからです。このスタイルは経験を積んだ人材がいなければ難しいと思います。こういった良さを最大限活かせるような組織としていきたいと考えています。」

かつての日本は数多くのメーカーがコア技術を武器に海外展開を実現していた時代。戸川さんは、AWLの継続的な再学習と自動デプロイを回すための「AWL Trainer(アウルトレイナー)」が汎用化されることで、世界の産業に欠かせない「基幹」になり得ると期待しています。

「エッジAIにおけるコア技術を世界中に展開する…その目標を実現するために、エンジニアをはじめとする当社社員が力を発揮できる組織を作っていきたいですね。」